NHK朝ドラ「とと姉ちゃん」を観ていて、はっとする言葉があった。
とと姉ちゃんこと、父親代わりに家族を支えてきた常子。妹が結婚することになり、結婚相手の両親があいさつに来る。
その時、相手の父親が言う。
「結婚もできんような大人は、一人前とはいえんですからね。子どもが結婚するまでは、親は死んでも死にきれんですよ。」
それは常子にあてたものではなかったが、未婚の彼女は母親のことを気にしてしまう。
母、君子と二人になった時、尋ねる。
「かか…かかもやはり、私には結婚してほしいですか?」
結婚して巣だっていくのを見届けるまで安心できないですか、と。
それに対して母は、
「私たちの世代はそう思う人がほとんどでしょうね、私もできれば素敵な方と出会って幸せに暮らして欲しいと欲しいと思っているわ。
でもね、それはその方が安心だからという事じゃなくて、それが…私に想像できる限界だからかも。あなたを見ていると、幸せの形は一つではないのかなと思うわ。
結婚しなくても、あなたは十分に一人前です。」
誰もが思う、幸せな人生。それは、それが一番想像しやすいからだ。
そして、自分が経験していない、見ていないのにその外側にある幸せもあるのかもしれないと考えられる君子は、なんて豊かなんだろうと思った。
幸せという事に限らず、不幸や悲しみだって、自分の認知しているのは一部で、
人によって全然違う。
そう思うと、世界がずっと大きいものに思えた。そういうもっと広い世界があるってことを、どこかで感じながら生きていければ自分だけの価値観に凝り固まらず、柔軟なまま年をとっていけるんじゃないかと思う。そうありたい、とても。